よびごえ日誌


2019.04.08 【2019】よびごえ日誌 vol.001

2019年度の新歓1日目は、ミニコンサートで「にじ色の魚」「夢みたものは…」「今日の日」「狩俣ぬくいちゃ」を歌い、その後は見学に来てくれたみなさんと一緒にワークをしました。
 
最初のワークは、まず「夢みたものは…」の前半を音取りしたあと、「楽譜通りに歌う」ということを意識して歌唱しました。その後、では「楽譜通り」と言われてなにを意識したのか、1人1つずつ発言しました。例えば、以下のような意見がでました。
 
 ・強弱
 ・音の長さ
 ・拍子感
 ・音程
 ・フレーズ感
 ・言葉の節目
 ・言葉のニュアンス
 ・歌詞をまちがえない
 
これは、楽譜にはどのような情報が書かれてあるのか、私は楽譜に何が書いてあると認識しているのか、これらを改めて考えるためのワークです。「楽譜ってそもそも何…?」という意見も出ましたが、これはとても良い問いだと感じましたし、いろいろな情報が含まれている楽譜をもう1度捉え直すきっかけになったのではないかと思います。
 
例えば、誰が読んでも同様に読み取れる情報として、調性や和声、形態(アカペラ、混声3部合唱等)などが楽譜に書かれている一方で、可変的な情報も含まれています。例えば、詩や強弱記号等、「私」と「あなた」ではその意味や程度が異なる可能性があるものです。楽譜とはそのような情報の総体であり、「楽譜通りに歌う」という試みは、自分と音楽の関係を問い直すためのキーワードなのかもしれません。
 
2つ目のワークでは、上記の中に出てこなかった、無意識の中で感じている音楽へのバイアス、というものを取り扱いました。今回、「夢みたものは…」を歌う時、だれ一人として荒っぽい歌い方をせず、自然に柔らかく歌唱しようとしていましたが、楽譜のどのような条件が私たちをそのような歌唱へと導くのか、考える事にしました。
 
全体を5つのチームに分け、チーム名を考え、各チーム最低5つは要素を出すこととしました。チーム名は、「タピオカ元年」「八宝菜」「チーム女子力」「1/2長野県民」「いちごGUMI」など、個性が結集しました。
 

 
「mpから始まる指示があるから強くは歌えないのではないか」「タイトルに『夢』がつくからそのイメージにひっぱられるのではないか」「和声構造がシンプルなことに原因があるのではないか」など、全員の意見を共有することで、「柔らかい」と感じてしまう音楽の条件が自然と整理されていきました。
 
なぜ私たちはある音楽を柔らかいと感じ、ある音楽は固いと感じるのか。今回は「夢みたものは…」の持つ質感を「柔らかい」というキーワードを頼りに考えてみましたが、この先、日常生活のなかにありふれているモノの「柔らかい」と音楽における「柔らかい」の間に共通点を探そうとするとき、そこにはきっと、学びが拡がっていく喜びがあるのだと思います。
 
今回のワークは計1時間のため、各自が疑問やもやもやを持ち帰ってくれるといいな、と思い課題を設定しましたが、それらを抱えながら、これから始まる大学4年間の学びのスタートしてくれるといいな、と感じています。
 
みんな、入学おめでとう!楽しい学びの世界が拓かれますように!
 
 

小田